採用計画とは?成功に導く採用計画の立て方のコツを紹介

中途採用をメインに人事として活動していたのに、「新卒採用をスタートさせてくれ」「来期から新卒をとろう!」などの指示をされたが、どこから手をつけるべきかわからないという人事担当者は多いのではないでしょうか。

また、いざ採用計画を立ててみたけれども

  • 採用目標数に達しなかった
  • 採れたけれど成功したかわからない

など、自分のアクションに不安を感じることも少なくないはずです。

この記事では、これから新卒採用のプロジェクトを立ち上げる際や、採用活動を見直したい際、採用計画を立てるために何をどうすべきかのポイントなどを紹介していきます。

採用計画の概要

採用計画とは、事業の成長と拡大のために、企業の資産の一つである”人材”をどのように採用し、配置させ、異動させるかという基本的な計画を立てることです。

そのため、適切な資産の調達と運用を実現させるための指針であるといえます。

採用計画とは何か

採用計画とは、経営企画/経営戦略を受けて事業の拡大を行うために必要な人材の調達と配置を定めたもので

  • どの部署に
  • いつまでに
  • 何人を
  • どのような方法で

採用するかという目標を設計した「採用活動を行う上での指針となる計画」のことです。

そのため、自社の経営方針や事業計画を正しく理解する必要があり、短期的な採用人数ではなく、事業を成長させるための人材配置を考え、配属された人が活きる状態を目指す指標であるといえます。

この計画を正しく立てることで、経営層との意思疎通が円滑になるだけでなく、自社の成長に直に貢献できます。

なぜ採用計画を作成する必要があるのか

必要な人材を確保する時間も予算も有限であり、かつ急務である企業がほとんどです。

さらに、現在の日本は少子化が加速し、採用対象の人数パイが急速に減り、コロナの影響で選考が思うように進められないなど、新卒の採用は年々厳しくなることが予想されます。

加えて、2018年に一般社団法人日本経済団体連合会(以下:経団連)が「2021年以降の学生を対象とする採用選考に関する指針を策定しない」ことを正式に発表し、今後、政府が主導で指針を出す中で、現在の短い選考期間がどうなっていくか、先行きが不透明な状況が続くと言えます。

こうした状況の中で、新卒採用を成功させている企業は「時期を読み」、「その時々に必要な行動を取る」ことができるよう計画をしています。

つまり、採用市場の様々な要因を踏まえ、採用計画をしっかり練ることが採用活動の鍵なのです。

採用計画を作成する前に必要な準備

実際に採用計画を立てる際に、いきなりスケジュールや目標を記していくことはNGです。計画を練るためにはまずは下準備が重要です。

抑えるべきポイントは3つ。

  1. 自社の事業計画を把握
  2. 去の採用活動で出た課題を抽出
  3. 競合他社及び学生の情報を収集

これらを抑え、失敗しない計画を立てていきましょう。ここから各ポイントについて解説していきます。

①自社の事業計画を把握

まず自社の事業計画を正しく把握しましょう。

事業計画を把握する上で見るべき項目は、売上の拡大やプロジェクトの進捗です。

自社の長期的な事業目標と人材面の現状を比較して

  • どのポジションに
  • どのような人材が、何人必要になるのか

の理解を深めていきます。

必要な人材試算にはトップダウン方式とボトムアップ方式の2種類があり、この手法を利用することでより正確に把握が可能です。

トップダウン方式は、売上高(上流から)に対して必要な人件費を予算から検討する方式を指し、全社の人件費から各部署に振り分けを行い、配置すべき人材を把握する方式です。

ボトムアップ方式は、部署それぞれの「業務を遂行するのに何人が必要か」という観点で必要な人数を算出していきます。

トップダウン方式とボトムアップ方式には、それぞれに良さと課題があるため、売上の必要人員数と現場の必要人員数の差分を知り、どういった背景で人員募集するのかを把握し、しっかりと理解しましょう。

②過去の採用活動で出た課題を抽出

これまで、新卒に限らず採用活動の経験をされている企業は多いはずです。

その際の成功体験や、うまくいかなかった点を整理し、新しい計画に取り入れることが重要です。様々な振り返りの手法はありますが、重要なのは「計測」と「現状把握」になります。

採用で目指すべき数値目標を可視化し、月や年ごとにまとめる「計測」とその時何があったのかを文字に起こしていく「現状把握」を行いましょう。

この際、気をつけるべきことは事実を書くこと。自分やその時の担当者の主観ではなく、実際に出た数字と行なったことをまとめ、足りていない部分を明確にし、課題を抽出していきましょう。

③競合他社やターゲット学生の情報を収集

3つ目に抑えるべきポイントは競合の調査です。うまくいっている企業とそうでない企業の差は何か、自社の魅力をアピールする際に差別化すべきポイントは何かなど、実際に動き出してからでは収集しにくい情報を明確にします。

情報収集のやり方は

  • 自社の内定者/新卒社員に対してヒアリングを行う
  • 競合企業やベンチマークとしている企業の、採用に関する口コミを見る
  • 新卒向け媒体やエージェントの担当者から情報を仕入れる

などが一般的です。

自社の内定者や新卒社員を対象としたヒアリングでは「内定承諾時に比較した企業」「良し悪し関わらず印象に残った企業」などを中心に聞くと良いでしょう。自社が推すべきポイントや、説明会や選考でマイナスとなるポイントの気づきを得られます。

競合企業やベンチマークとしている企業の口コミを見ることも重要な情報源です。真似すべきポイントや反面教師として参考にする情報も多くありますが、最も重要なのは差別化すべき箇所を見つけることです。ココが売りだと確信を持つきっかけになります。

第三者からの意見も貴重な情報源になりますので、新卒向け媒体の担当者やエージェントからも積極的に話を聞きましょう。媒体担当者やエージェントは利用企業の目的達成のために、効果的な採用方法や採用トレンドを把握しているだけでなく、学生と接触して就活トレンドなどの情報を得ている場合も多いです。実際の採用ターゲットに刺さる生の情報は十分に活用していきましょう。

採用計画の立て方のコツ

実際に採用計画を立てる際は難しく考えず、押さえるべき要素を正しく押さえることでスムーズに行え、無理のない計画を作ることができます。

以下の順番に沿って作成することで、大きな失敗のない計画が立てられるはずです。

ステップとしては

  • 採用目的及び採用目標を決める
  • 求める人物像を明確化
  • 評価方法と選考基準を検討
  • 採用方法及び募集媒体を選定
  • 採用スケジュールを策定

が基本的な流れと言えます。

一つずつ見ていきましょう。

①採用目的及び採用目標を決める

計画の第一歩として決めるべきことは目的と目標を決めることです。

難しく考える必要はなく、事前の情報収集で行なった事業計画から算出される配置の根拠と人数を参考に定めていきましょう。具体的には「どの事業(部署)の目標を達成するために」「どんな仕事に対して」「何の職種で」「何人必要か」を明確にします。

ここで特に重要なことは「どの事業(部署)の目標を達成するために」です。

仕事や職種から目標を決めてしまうと、人数に比例した業績の成長率が取れなくなる可能性が高まります。

経営方針や事業計画を参考に、組織を強化・拡大することが新卒採用の最重要な目的です。採用した人材がダイレクトに事業成長に寄与する箇所に割り当てる意識を持って目標を定めましょう。

②求める人物像を明確化

経営層や配属予定の部署へのヒアリングを中心に求める人物像を定義していきましょう。

新卒採用はポテンシャルを重視することが多く、「カルチャーマッチ度」「保有スキル」「能力」の3つに対して尺度を定めることが一般的です。

「カルチャーマッチ度」は各部署のエースや現在期待されている人材を参考に、自社に適正のある志向性、価値観、性格、気質を定めましょう。性格診断などの定量的なデータを取って定めることも有効です。

「保有スキル」は専攻、保有資格、専門知識を中心に、入社した際の下地として持っていて欲しいモノを決めましょう。ただし、新卒はポテンシャル採用です。高望みせず、あるとなお良いという観点が必要です。

「能力」は思考力や発想力、学力、そしてコミュニケーション能力を定めましょう。ただし、必要な能力は部署や職種ごとに異なることを忘れないことが重要です。配属先を気にせずに定義した結果「コミュニケーション能力を重視したら、技術者の素養が足りなかった」なんてことにならないよう、気をつけましょう。

③評価方法と選考基準を検討

新卒採用は面接回数も多く、ステップごとの面接官が異なることが一般的です。面接官ごとに選考基準に差が出ないよう、評価方法と基準を明確にしていきましょう。決めるべきものは絶対に必要な要素と、あると望ましい要素です。

絶対に必要な要素は部署や部門、年齢や性別に関わらず、会社として最低限もっていてほしい要素を定義しておきましょう。客観的な評価をするためには、SPIや適性検査、偏差値などなるべく定量的に測れる項目を据えることが効果的です。

あると望ましい要素は定性的な項目でも構いませんが、面接官同士で感覚のすり合わせを行い定義していきましょう。採点シートのようにテキストを渡すだけでなく、「明るい人といえば誰々」など、共通のイメージをすり合わせる時間を設けて、ブレが少ない評価と選考基準をつくっていきましょう。

④採用方法及び募集媒体を選定

ターゲットや選考基準が明確になったら、採用方法を考えていきましょう。

新卒採用では

  • 自社媒体
  • SNS
  • 大学へのアプローチ
  • 求人媒体やスカウト媒体
  • 採用イベント
  • 人材紹介
  • リファラル

の7つを活用し採用していくことが有効です。ターゲット層に合わせて費用対効果を意識しながら選ぶことが大切です。

自社媒体やSNS、大学へのアプローチ、リファラル採用は初期コストを抑え、志向性がマッチしやすい人材を採用することが可能ですが、一方で日々運用を続ける必要があり、稼働工数が必要となります。

求人媒体や採用イベントは媒体側が集客を行ってくれるため、多くの学生にリーチしやすく、プランに対しての費用対効果がわかりやすくなっています。一方で初期コストがかかり、競合との差別化も必要となります。

人材紹介はエージェントが代わりに人を集め、クロージングも行ってくれるため、効率よく自社リソースの稼働を抑えながら採用が可能です。一方で成功報酬でコストが割高な傾向があります。

⑤採用スケジュールを策定

最後に抑えるべきポイントはスケジュールです。採用年度の就活解禁から逆算して、具体的なスケジュールを立てていきましょう。入社日から逆算して、内定日、選考日程、説明会の日程など大きなイベントを切り分け、タスクを洗い出しながらスケジューリングすると良いでしょう。

また、新卒採用は期間が長く、他社からも候補者へのアプローチが多く発生しますので、各イベントごとにどのくらいの頻度で、どんなフォローをするかを考えることも忘れずに行いましょう。

関係者がアクセスできる共通のカレンダーに予定を作成し、「何をいつまでにやるか」「その日に達成することは何か」を記載しておくと無理なく計画を実行できます。

まとめ

新卒採用は事業の成長を支える重要なミッションであり、責任の問われる業務です。しかし、採用計画を明確化することで、失敗するリスクを下げ、より良い人材を確保できるはずです。

本記事では

  • 採用計画とは何か
  • 必要な事前準備
  • 計画の立て方のコツ

を紹介してきました。

初めての新卒採用や昨年の採用を改善したい場合、まずは基本を押さえることで採用活動の成功に近づいていくはずです。

経営戦略を把握し、事業の成長を見据えて、適切な人材戦略を立てることは人事業務の花形と言えるでしょう。

紹介した採用計画の立て方を参考に、自社にあった計画を立案し、スムーズな採用活動と採用成功に向けて役立ててみてください。