新卒の定着率を向上させる方法とは?定着率が低い会社の特徴とともに紹介

大卒で入社した新入社員が3年以内に会社を辞めてしまう割合は3割を超えると言われています。

せっかく1年以上の時間をかけて採用活動や内定者フォローを行ったにもかかわらず、早期に退職してしまうのは、貴重な時間と労力が水の泡になってしまいます。

また、会社の経営戦略としても新卒の早期退職は数年後、数十年後にも影響が出てしまうことになります。

新卒の定着率を向上させるために企業は何を行えばよいのか、定着率をあげる方法を説明していきます。

定着率とは?離職率との違い

はじめに、「定着率」と「離職率」の違いについて説明します。


「定着率」とは、一定期間において、入社した人がどの程度定着しているかを表す指標です。一方、「離職率」は、一定期間において、入社した人がどの程度退職したかを表す指標です。

それぞれ似た表現で使用されることも多いですが、着目するポイントが「定着」なのか「離職」なのかによって使い分ける必要があります。

「定着率」の計算方法は

【1年間で退職しなかった社員数】÷【入社人数】×100

になります。

新卒は3年以内に約3割が離職

2020年、厚生労働省が平成29年3月に卒業した新規学卒者就職者の3年以内の離職状況を取りまとめたデータを発表しました。

新規高卒就職者は39.5%、新規大卒就職者は32.8%で3年以内に離職をしているとのことです。また、事業所規模ごとのデータでは規模が小さいほど離職率が高くなっていることが分かりました。

新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)を公表します

新卒の定着率が低い会社の特徴

新卒入社した社員が離職してしまう場合、本人に問題がある場合ももちろんありますが、企業側に離職率を上げてしまう要因があるケースもあります。下記で取り上げるものは代表的な離職の原因となっているものです。自社に当てはまるものがあるか確認し、見直してみましょう。

仕事が合わない

実際の業務をしてみて「仕事がおもしろくない」「このままだと成長が感じられない」といったことが表面化することが離職の原因となることがあります。

特に新入社員だからといって誰でもできるような雑務ばかりを与え続けると、「このようなことをやるためにこの会社に入ったわけではない」といった気持ちにさせてしまうことになります。

人間関係が悪い

上司や先輩、同僚との関係性も非常に大事な要因となっております。新入社員は右も左も分からない状態で入社した中で、コミュニケーションが取れないことは相当なストレスになります。ハラスメントが日常的にあるような企業では長く勤める気持ちにはならないものです。

長時間労働が常態化

残業時間が長かったり、休日出勤が多かったりと労働の負荷が高い企業も離職率が高くなります。企業によっては新入社員だからといって本来の仕事ではないような仕事をさせて、その分の時間は労働時間に含まれないといった、サービス業務のようなものも不満につながる一因となります。

業界や会社への将来が不安に感じる

新入社員はこれから数十年もキャリア積みながら働いていくことになりますが、業界や会社の先行きが不透明であると不安になります。業界全体になると変えられないことも多いですが、自社の将来性や方向性を示していくことで不安解消に繋がります。

まっとうな評価がされない

評価というと、日常的なフィードバックから得られるものや、給与やボーナス、昇進といったものがあります。新入社員だからといって甘く評価する必要はもちろんないですが、なぜその評価になったのかを適切に説明できる必要があります。その説明が疎かになると、この会社に必要がないのだと思われてしまうことに繋がります。

定着率向上により得られるメリット

定着率があがることにより様々なメリットを得ることができます。短期的にみると採用や教育コストの削減、長期的にみると会社の組織力や利益の向上に繋がります。それぞれどのようなメリットがあるのかを詳しく説明していきます。

採用及び社員教育にかかるコストを削減できる

会社規模や採用人数によって誤差はあるものの、1名を採用するにつき約70万強の採用コストがかかるといわれています。

また3年間の社員教育コストはその期間は会社の戦力としてみなさない(利益貢献できない)とすると、その期間の給与や研修費用等は約1,500万円を超えると言われています。定着することができると上記コストが無駄にならずに済みます。

企業の組織力が向上する

長期で働く人材が増えれば増えるほど、組織自体にノウハウやナレッジがたまり、一体感が生まれ、より組織が強くなっていきます。そのことで一人ひとりの生産性も高まることで会社として組織力が高まっていくことになります。

社員のモチベーションを保てる

離職者が出ることで、周囲にも悪い影響が出ます。離職者が担当していた業務を誰かが引き継がなくてならず、業務負担が増えることになります。

また、離職する人が出ることで、「この会社は大丈夫なのだろうか?」「自分もこのまま働き続けるべきなのだろうか?」と考えるきっかけとなってしまうことになります。

定着率が高ければこのようなことも起こらずに済むことになります。

顧客満足度が向上する

人間関係は社内だけを指すものではありません。取引先や顧客に対しても定着率は影響があります。担当者がコロコロと変わる企業はやはり長期的な取引や信頼関係の醸成が難しくなり、企業として成果を創出することが難しくなります。定着率が高ければ、顧客との関係性も長く続くことができるようになるメリットがあります。

定着率を上げる方法を紹介

どのように定着率を上げていけば良いのでしょうか。前述のとおり、離職する原因は色々とあります。採用のフェーズ、入社後のフェーズによって対応方法や改善していく方法は変っていきます。また、新入社員の定着率の向上は、全社員の定着率の向上にもつながっていくことになります。

採用段階でミスマッチを解消する

定着する人材は採用段階で見極める必要があります。どのような人材が長期的に会社に貢献して働いているのかをしっかりと分析し、採用基準に落とし込んでいくことも重要です。

また、募集や選考の際に会社の実情に蓋をして、見栄えだけ良く見せてしまうことで入社前と入社後のギャップがあり離職に繋がることもあります。しっかりと実情を示し、ミスマッチを減らすことが、入社後の定着に影響をもたらします。

労働環境を見直す

働き方改革が進められてきたことで、長時間の残業や有給休暇の取得率は改善してきましたが各会社によって状況は異なります。

今一度、会社としてどのような労働環境が正しいものなのか、どうしていきたいのかをしっかりと落とし込んでいくことが大事になってきます。労働環境が改善することで、新入社員の定着率の向上だけではなく、既に働いている社員にも良い影響がもたらされます。

福利厚生などの労働条件の改善する

働き方の改善に加えて、福利厚生などの改善も大切になってきています。当たり前のことを当たり前にするといった、マイナスになることがないようにすること、例えば「清掃が行き届いている」「トイレがキレイに使われている」「空調設備に不備がない」「使用するPCのスペックが十分である」といった基本的なことをすることで、定着率の向上に繋がっていきます。

やりがいのある仕事を任す

仕事に対してモチベーションを保てないことが離職につながる一因となります。入社から早い段階でやりがいのある仕事を任せることで、本人の成長やキャリアアップにつながっていくことになります。とはいえ、仕事を与えるだけで放置するのではなく、しっかりとバックアップをしていることを上司や先輩が示す必要もあります。

社内コミュニケーションを活発化する

心理的安全性を高くしていくことも定着率の向上に寄与します。新入社員に悩みがでてきたときにすぐに話せるようにメンター制度を導入している企業も多くなってきているようです。メンターの課題解決だけでなく、先輩社員(メンティー)の育成経験につながり、双方にメリットがある施策と言えます。最近では社内運動会といったコミュニケーションをとる場づくりを設けている企業も増えています。

まとめ

3年以内で3割強の新規入社者が辞めてしまうという現実から、定着率の向上は多くのメリット生み出すことが分かりました。


・採用や教育のコストの削減
・組織力が高まり、企業としてより強くなっていく
・新入社員だけでなく、既存の社員にも影響する


どの企業も自社の課題を見つけ出し、ひとつずつ改善することでより良い循環が生まれるようになるのではないでしょうか。