選考辞退を防ぐためには?選考辞退される原因とともに紹介

選考辞退を防ぎ、自社に必要な人材を採用することは人事担当者のミッションの一つです。本記事では選考辞退が起こす影響から辞退につながる理由と辞退の防ぎ方まで解説していきます。

採用選考を進める上で、人事担当者が直面する課題の一つとして選考辞退があります。選考辞退は内定辞退と並ぶ深刻な問題であり、内定数に直結する指標の一つです。

選考辞退とは書類選考から内定までに至る選考プロセスの途中で”候補者側”が選考を受けない意思表示を行い、辞退する現象のことです。

選考辞退が発生する原因は候補者とのミスマッチや選考プロセスにおける不手際など、数多く挙げられます。

この選考自体が発生することは、候補者の人材プールを意図しない形で減らすだけでなく、コストの増加、採用担当者のモチベーションの低下など、さまざまな弊害を招くものです。本記事では、選考辞退が起きることで採用活動にどんな影響があるのか、辞退の理由にどのようなものがあるのか、そして辞退をどのように防ぎ、どう対応するかについて順に解説していきます。

選考辞退による影響

選考辞退の数が増加すると、自社の採用活動に対して様々な悪影響を及ぼしてしまします。

具体的には

・採用コストと工数が増加する

・採用担当のモチベーションが低下する

といったことがあります。

具体的にどういった影響があるのか、その内容について説明していきます。

採用コストや工数が増加

採用活動は各選考プロセスで決まった母集団を集め、複数の候補者の中から自社で篩にかけながら内定者を絞っていくものです。

そのため、予測していなかった母集団の減少は、採用目標を達成するために必要な候補者数を下回る結果につながりかねません。

また、選考辞退をした人材が、内定を出したい優秀な人材であれば、質の高い候補者探しが必要となるでしょう。

いずれの場合においても、再度人材を探すことにつながるため、求人広告費用や面接担当の人件費・稼働時間を追加でかける必要が生じ、コストが増加します。そのため、選考辞退数が増えるほど、採用にかけるコストが膨れ上がってしまいます。

採用担当者のモチベーション低下

選考辞退が発生した場合、採用担当者のモチベーション低下も悪影響が出るポイントの一つです。

採用担当者は時間を割いて候補者と向き合ってきたわけですから、辞退者が出たことにより、選考プロセスを追加で繰り返すとなれば「また時間を使わなければならない」と感じることも少なくありません。

また、せっかく自分が良いと考えて選考を通し、候補者と向き合ったにも関わらず選考辞退をされてしまえば、採用担当としての自信を失うきっかけになることもあります。

採用担当者のモチベーションを下げないためにも、選考辞退は避けていくべき壁であるといえます。

選考辞退される理由

候補者が選考辞退をする理由はいくつかあり、その理由を把握することで、選考辞退を防ぐことや辞退された後の悪循環を避けることもできます。

特に辞退理由として多く挙げられるのは

・他社で内定が決まった

・希望条件とミスマッチが生じていた

・社員の言動などで印象が悪くなった

・選考日程が合わなかった

といった内容です。この辞退理由について詳しく紹介していきます。

他社で内定が決まった

候補者にとって、応募や選考といったアクションは一社のみに対して行うものではなく、複数社並行していることが一般的です。

そのため、どんなに自社の選考スピードが早くても、候補者が応募したタイミングによっては志望度の高い他社の内定を承諾され、、選考辞退となってしまうこともあります。

他社内定による辞退は、候補者が志望度の高さに応じて順に応募し選考を受けていた場合は、ある程度仕方のない辞退理由といえます。

しかし、候補者の希望と自社のポジションがマッチしていた場合、訴求が足りていない、伝えきれていないために発生する場合もあるため、採用活動中の説明や訴求が十分であったかの振り返りは行うようにしましょう。

志望者の希望条件とミスマッチが生じていた

募集内容で興味をもち、実際の選考や質疑応答で知った条件が合わなかったために発生する辞退理由として、希望条件のミスマッチが挙げられます。

働き方の多様性や柔軟性が叫ばれる昨今、候補者は単純な金額の条件だけでなく、やりがいや職場の作業環境など、ストレスを感じず、モチベーションが保てる条件を選ぶ傾向にあります。

そのため、一見して社内では良い条件と考えていても、候補者側からすると魅力のない条件・環境を理由に辞退につながる可能性があります。

採用トレンドや採用に成功している同業他社の条件を参考に、自社の条件を見直したり、条件面に頼らない魅力の訴求を強めるなどして、選考辞退を避けていくようにしましょう。

社員の態度や言動から印象が悪くなった

選考活動は候補者と採用担当者とのコミュニケーションで進むものです。候補者にとって、担当者の態度の良し悪しや相性といったポイントは未来の上司との関係性を想起させるため、志望度に直結しがちです。

企業が選考で候補者を評価しているのと同じように、候補者も企業の対応を無意識に評価しているものです。採用スケジュールに関する連絡や些細なやりとり一つでも、丁寧なレスポンスを心がけることで良い印象を保ちましょう。

また、採用担当者に限らず社内ですれ違った、あるいは話をした社員の態度が悪かったり、言動に圧を感じるなど印象を下げるような可能性は様々なところにあります。社内の細かな部分に気を使いリスクを減らしておきましょう。

選考日程が合わなかった

採用活動は自社が目指すマイルストーンでスケジュールを引くことが多いため、候補者側が求めるスケジュールに対応できず選考辞退されるケースもしばしば見受けられます。

特に、候補者が複数の選考を並行している場合は、志望度の高い企業から選考日程を抑えていくことが多いため、自社の志望度が高くない場合は選考日程の調整がスムーズに進まないこともあります。

これは、選考のための移動コストが発生する地方在住者であるほど、選考辞退理由として上がる可能性が高まります。

当然、現職の都合や家庭の事情など、個々人のスケジュール事情は多岐に渡ります。自社の採用活動の目標と照らし合わせつつ、優秀な人材を取り逃がさない選考期間と時間の余裕が必要といえるでしょう。

選考辞退を防ぐ方法

さまざまな原因がきっかけで発生する選考辞退。実は採用担当者の対応次第で避けることができるケースもあります。

選考辞退を防ぐためには、一律に対応をするのではなく、候補者の状況や選考フェーズに応じた適切な対応が必要であると改めて理解しましょう。

選考辞退を防ぐために効果的なタイミングと方法である、選考前のミスマッチの解消、選考中の柔軟な日程調整、そして内定後のフォローなど、各フェーズに応じた回避策を紹介していきます。

選考前:ミスマッチを解消する

候補者が応募をしてくる際の志望度や動機はまちまちで、「第一志望に似ている企業だった」「なんとなく書類を出した」というケースもあります。。

自社を第一志望として考えていない候補者は、選考の連絡がきた後に情報を集め、選考を受けるか検討することがあります。

選考前の再検討で辞退されることを避けるために、見栄えの良い情報でアピールして応募を集めるのではなく、自社の正確な情報にアクセスできる状態をつくり、“なんとなくの応募”を減らしましょう。

求人情報の見直しやスカウトメールなどの訴求ターゲットの見直しが自社にマッチする人材を集めます。

選考前の辞退を防ぐには、応募時のマッチング率を高めることが重要であり、採用サイトやSNS、求人のキャッチコピーなど、求める人材に刺さる情報を記載していくことが大切です。

選考中:選考日程は柔軟に決める

選考中の辞退を防ぐ方法の一つとして、選考日程を柔軟に決めていくことが挙げられます。

候補者は決まった時間内で就職活動を終えようとしている場合も多いため、選考日時が重なった際、志望度が高い企業の選考を優先しがちです。

そのため、他社の選考状況を把握し、就職活動をどのようなスケジュールで進めているかヒアリングしましょう。

自社にマッチしている人材であれば、ある程度、候補者側の都合に合わせたスピード感と柔軟性で進めることが重要です。

候補者は自分のことを丁寧に扱ってくれる企業に対しては好印象を持ちやすく、志望度も高まりやすくなります。

無理のない範囲で選考期間に猶予を持ち、必要なタイミングで融通を効かせられる状態をつくっておくことで、柔軟でかつ効果の高い辞退防止策が講じられます。

内定後:フォローを丁寧に行う

内定後の辞退を防ぐために、しっかりとしたフォロー体制を設けましょう。企業としては内定を出した段階でひと段落ですが、候補者としてはいくつかの企業との比較を行なっている場合があります。

条件面や仕事内容といった部分だけでなく、「この人たちと一緒に働きたい」と思わせることで内定後の辞退率を下げていきましょう。

具体的には、条件を正確に提示する、候補者が”歓迎されている”と感じるような印象に残る内定出しをする、配属先の先輩社員や内定者同士で顔合わせを行う、定期的にコンタクトを取る、などが挙げられます。

内定後フォローに充てられる人的コストには限りがあるかとは思いますが、ポイントは明確な条件出しと候補者の想いに寄り添うこと、そして接触頻度を上げることです。丁寧なフォローを重ね、最後まで選考辞退を防げるような状況をつくっていきましょう。

選考辞退者への対応方法

どんなによい選考方法やフォローを行なっていても、選考辞退をゼロにすることは難しいものです。選考辞退が発生した場合、雑な対応や圧力をかけてしまうと逆効果です。

企業としてのイメージを損ねる結果につながります。選考辞退を申し入れられた際、相手を尊重し、しっかりと対応する方法を紹介していきます。

相手の気持ちを尊重して対応する

選考辞退は採用担当として避けたく、覆したいと感じることもあるものです。しかし、辞退の連絡を受け取った際は、感情的に対応しないように心がけましょう。候補者は複数選考を受けている可能性があり、たまたま他社との縁が結ばれただけです。

今後、中途採用で再度応募してくれる可能性もありますし、取引先として顔を合わせることもゼロではありません。

今回の採用期間では接点がなかったが、これから様々な形で接点を持つ可能性があることを忘れ、高圧的な対応やぞんざいな扱いをしてしまえば、中長期的な縁を失うだけでなく、企業としての信頼も損ねる結果になりかねません。

様々な対策を行って魅力をアピールしてきた結果の選考辞退については、今は縁がなかったと切り替え、時間を使ってくれたことへの感謝を込めて、相手を尊重した対応を行うようにしましょう。

辞退メールには必ず返信する

選考のやりとりはメールで行われることが一般的で、候補者からの選考辞退の連絡も多くはメールで送られてきます。

もし、辞退のメールを受け取ったなら、必ず返信を行うよう心がけましょう。今後、どんな接点を持つかわかりませんので、選考結果に関わらず、良い企業であるという印象を与えることは重要です。

メールを送る際のポイントは2つ、

・しつこく引き止めない

・選考に参加してくれたことに感謝する

ことです。

以下、例文を参考に、礼儀正しく、丁寧な文章を送付し、企業の印象をよくしていきましょう。

【例文】

件名:選考辞退のお申し出につきまして

本文:

xx様

株式会社xxのxxと申します。

この度は、弊社求人の選考にご参加いただき

誠にありがとうございました。

今回の選考辞退のご連絡につきまして

弊社としましては誠に残念ではございますが

お申し出を受け付けました。

本選考に関してお預かりいたしました

履歴書、職務経歴書等につきましては

当社にて責任をもって破棄しますことをご了承ください。

最後になりますが、xx様の今後のご活躍をお祈り申し上げます。

まとめ

本記事では、選考辞退について解説し、その中でも

・選考辞退が起こす影響

・選考辞退の代表的な理由

・選考辞退を防ぐ方法

・選考辞退者への対応方法

こちらについて紹介してきました。

選考辞退は多くの候補者を集めれば集めるほど、発生する可能性があるものです。しかし、選考辞退が続くことで起きうる悪影響を理解し、候補者が辞退する理由を知ることで、対策を講じることが可能なものでもあります。

選考辞退の原因を理解し、辞退を防ぐための方法を一つ一つ行うことが採用活動を成功させる秘訣です。

自社の選考を通して関わる候補者に対して、接点を持つそれぞれの段階で良い印象を与え、限られた縁の中で優秀な人材を採用できるようにするとともに、辞退者への気配りを行うことが企業の人事担当としての責務の一つといえるでしょう。

これからの採用活動において、選考辞退を防ぎ自社の採用活動を成功させるために本記事をお役立て下さい。