リファラル採用を実施した企業の事例から学ぶ、成功の秘訣を解説します

リファラル採用の導入により、企業と応募者のマッチング率を向上し、コストカットができるなど、さまざまな効果があるのをご存じでしょうか。

しかし「リファラル採用を取り入れたが、上手く運用できていない」と、お悩みの人事担当もいるでしょう。

そこで今回はリファラル採用を成功させるための方法と、事例を紹介します。

またリファラル採用が上手く運用できなかった際の、改善方法も見ていきましょう。

ぜひ記事を参考にし、自社のリファラル採用の参考にしてください。

リファラル採用に成功している企業の共通点

リファラル採用とは、自社の社員、友人や知人などを介して人材を紹介してもらう方法です。

企業理念などを理解している社員などが仲介となることで、採用のミスマッチがおこりづらい点がメリットといえるでしょう。

しかしリファラル採用を効果的に実施する際は、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

リファラル採用に成功している企業の共通点を元に紹介していくので、自社での導入時に役立ててください。

社内に周知して協力体制を構築した上で実施

リファラル採用に成功している企業は、社員が協力した場合の条件や報酬について明確にし、しっかりと周知しています。

社内でリファラル採用実施における体制を構築し、実施することで、より円滑に採用活動がおこなえるからです。

社内の協力体制をつくる上で、以下を考慮してください。

報酬の明確化

リファラル採用に協力した社員への報酬を、明確にしましょう。

  • 金銭的な報酬であれば明確な金額
  • 有給休暇の追加などであれば日数
  • 評価への反映であれば具体的な内容

同時に「何を達成すれば報酬を得られるのか」も、明確にしてください。

例えば内定に至った時点で報酬を得られるのか、もしくは採用後の試用期間満了後、正式採用となった場合なのかといった具合です。

報酬額と基準を明確化することで、社員の協力がより得られやすくなります。

カジュアル面談や会食を積極的に実施

カジュアル面談や会食の定期的におこなうことも、リファラル採用を成功させる秘訣です。

カジュアル面談とは、リファラル採用の最初の入り口として実施されることが多い面談です。面接が「採用可否の決定」が目的あるのに対し、カジュアル面談は「お互いを知る」ことを目的とします。

カジュアル面談のすることで、採用のミスマッチを未然に防ぐことが可能です。さらに候補者に対して応募へのハードルを下げることもでき、候補者の潜在的な情報を得ることもできます。

またリファラル採用の一環として、会食をおこなう企業もでてきています。対面・オンラインに関わる、社内外でコミュニケーションできる場を増やすことで、採用のエンゲージメント率を高めることが狙いです。

会食は面接に比べて硬い雰囲気がないため、社員が自社へ推薦したい人材を気軽に誘うことができます。

以上のようにリファラル採用において、カジュアル面談や会食などの機会創出は効果的です。まだおこなっていない場合は、ぜひ実施を検討してみてください。

中長期的な施策として継続的に取り組んでいる

リファラル採用を成功させるポイントとして、一回のみのではなく、中長期的なフォローアップが大切です。

リファラル採用を導入したとしても、途中で工夫がなくなってしまえば、施策の改善の余地がありません。また、社員は施策について忘れてしまうでしょう。

長期的に企業が成長するためには、人材の継続的な確保が不可欠です。そのためにもリファラル採用について何度も施策を検討・改善し、いい人材を常に獲得できるチャンスを生みだしましょう。

その他の採用チャネルと併用して取り組んでいる

人材の採用をおこなう際に、リファラル採用だけを実施するのではなく、他の採用チャンネルと併用して取り組むことも大切です。

リファラル採用のみに頼るのではなく、さまざまなチャンネルを利用し、採用自体の機会を増やしましょう。

  • 求人広告やオウンドメディアなどを用いた、不特定多数へ向けた公募型
  • 派遣紹介や転職エージェントを用いた、人材紹介
  • スカウトなどの、ダイレクトリクルーティング

他の採用チャンネルで得た人材が、リファラル採用に協力してくれるというパターンもあります。

人材を得る機会を増やすためにも、他の採用チャンネルも使いながら、リファラル採用に取り組みましょう。

リファラル採用に成功している企業の事例

続いてリファラル採用に成功した企業の事例を、15例紹介していきます。

成功事例を参考に、自社のリファラル採用戦略に役立ててください。

①株式会社アンドパッド

出典:株式会社アンドパッド

株式会社アンドパッドは、「ANDPAD」というクラウド型の、建築・建設プロジェクト管理サービスを提供するスタートアップ企業です。

株式会社アンドパッドのリファラル採用の施策では、採用したい人物像を明確化し、数ではなく質にこだわったそうです。

リファラル採用に関わる社員も、数を限定しました。
ターゲット人材と関わりのある社員を絞り込み、該当の社員からのリファラル採用を狙いました。

効率的で質の高いリファラル採用をおこなったことで、ひと月あたりの紹介数が6倍に増加したそうです。

さらに紹介された人材のうち、90%が内定承諾に至りました。

参照:リファラル採用の成功事例10選|成功企業に共通する3つの要素とは

②freee株式会社

出典:freee株式会社

freee株式会社は、事務管理を効率化するためのクラウド型サービス「会計freee」などを開発し、運営している会社です。

freee株式会社は、リファラル採用で紹介してくれた社員を表彰するなどしました。

社員のリファラル採用に対する自発性を引きだす施策に着目し、感謝を伝え、「会社にとってリファラル採用はいい影響がある」と社員に伝えることに着目したそうです。

さらに「リクルーティングアワード」という協力者を表彰する機会をつくり、リファラル採用の推進に力を入れています。

参照:freeeのリファラル3カ条|社内で協力体制をつくる秘訣とは

③キャディ株式会社

出典:キャディ株式会社

キャディ株式会社は、独自開発のシステムを用いてQCDの最適化に対応しながら、各種加工品を製造し提供している会社です。

全社ミーティングでリファラル採用について、定期的に発信をしました。
さらに社内共有のチャットSlackでも、活動報告を継続したそうです。

候補者との面会の機会を、オープンなものからクローズなものまで用意し、候補者との関係性を深める施策も実行しました。

社内での協力体制が整い、3カ月で6人の採用に成功し、社員の6割がリファラル採用に参加するようになったとのことです。

参照:3ヶ月で6人採用。社員の6割が参加する、リファラル採用の空気づくり

④株式会社SmartHR

出典:株式会社SmartHR

株式会社SmartHRは、クラウド人事労務「SmartHR」を提供している会社です。
登録社数は、4万社以上を誇ります。

リファラル採用ついて、「採用に至らなかった際に、申し訳ない気持ちになる」という社員からの意見が多く、実際に紹介が増えていかなかったそうです。

そこで、「ごめんねごはん制度」という制度を社内でつくりました。
採用に至らなかった候補者を、会社の経費で会食に連れていく制度です。

紹介しづらいという社員の気持ちを、やわらげる施策をつくり実施しました。

結果的に紹介が増え、現在では社員の約30%がリファラル採用で得た人材です。

参照:常に進化し続けたい!SmartHR式リファラル活用

⑤株式会社ビズリーチ

出典:株式会社ビズリーチ

株式会社ビズリーチは、インターネットを通じたサービス事業を提供している会社です。

リファラル採用の大切に社員が気づき、社員主導で「リクルーティングプロジェクト」という施策が立ち上がりました。

リファラル採用のノウハウを共有しつづけ、社員の4割がリクルーターとして関わるプロジェクトに成長したそうです。

結果的にリファラル採用が活発化し、毎年の約30~40%がリファラル採用からの人材です。

参照:「事業創りは仲間探し」ビズリーチ社のリファラル採用成功の秘訣とは?

⑥株式会社富士通

出典:株式会社富士通

株式会社富士通は通信システムや情報システム、電子デバイスの製造・販売や、関連サービスも含め幅広い事業を手掛けている会社です。

富士通では、社員向けのリファラル採用サイトをつくり、紹介対象のガイドラインを設定しました。

また人事部より社員へ、リファラル採用に関するメッセージも積極的に発信したそうです。

人材の紹介方法やツールも明確化し、社員に共有しました。

リファラル採用を開始後、1年の間に20名の採用に成功したそうです。

参照:富士通が3万3千人の全社員に展開してリファラル採用に取り組む理由

⑦株式会社メルカリ

出典:株式会社メルカリ

株式会社メルカリは、国内最大級のフリーマーケットアプリ「メルカリ」を提供している会社です。

株式会社メルカリでは、社内外交流イベント「Meetupイベント」を実施しています。

より多くの人に、会社について気軽に知ってもらうためのイベントで、社員が気軽に知人を誘える仕組みになっています。

リファラル採用は株式会社メルカリの、急成長を支えているといえるでしょう。

参照:リファラル採用のメリットとは?メルカリの事例から成功イメージを掴むメルカリはどうしてリファラル採用に強いの?3つのバリューとワーディングへのこだわり

⑧株式会社サイバーエージェント

出典:株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントは、Ameba関連事業、インターネット広告事業を中心に手掛ける企業です。

株式会社サイバーエージェントでは、リファラル採用を社内周知することに力を入れているそうです。

社内報で、紹介者とリファラル採用で入社した社員のインタビューを公開しています。

さらにメールでも周知を徹底し、人材を募集している部署や、応募・面談方法について明確に伝えているそうです。

今後は直採用の100%を目的として、リファラル採用の施策を続けています。

参照:直採用100%企業に。サイバーエージェントのリファラル採用成功の秘訣とは

⑨Ubie株式会社

出典:Ubie株式会社

Ubie株式会社は、ヘルステック・スタートアップ企業といわれ、テクノロジーで適切な医療を案内することを目的としサービスの開発・提供をおこなっている会社です。

社員ひとりひとりが、メディアプラットフォームであるnoteを使用し、採用広報を実行しました。

また技術やスキルより、自社の文化に合うかどうかを重視し、リファラル採用をおこなったそうです。

現在では社員の約70%が、リファラル採用からの人材となっています。

参照:ナイル渡邉が気になる、あの会社の採用広報 #2 Ubie湊谷海斗氏|エンジニア起点のスクラム採用でリファラル70%を実現

⑩株式会社ベーシック

出典:株式会社ベーシック

株式会社ベーシックは、Webマーケティングメディア「ferret」や、マーケティングツール「ferret one」を運営している会社です。

リファラル採用にあたって、株式会社ベーシックでは、まずは候補者のリストアップからおこないました。

そして候補者が企業文化とフィットしているか、という点を重視し、該当する候補者を積極的にランチやイベントに誘ったそうです。

「カルチャーフィットする人材を採用したい」という想いから、リファラル採用チームを発足。
当初は、CEO1名+社員4名という少人数のチームというだけでなく、CEO以外は全員20代の若手という状況でスタートしました。2019年3月から始動したにも関わらず後、4カ月後の7月には合計4名の採用に成功。その時点で同社におけるリファラル採用活動の型ができていたことから、全社展開を開始し、10名の採用に成功しています。

CEOを含め5人という小規模の会社でしたが、リファラル採用をはじめてから10カ月で10人の採用に成功しました。

参照:20代中心のチームが本気でリファラル採用に取り組んだ結果、10ヶ月で10人採用できた話

⑪iYell株式会社

出典:iYell株式会社

住宅ローンに関わる悩みや問題を、テクノロジーで解決する住宅ローンテックカンパニーが、iYell株式会社です。

「何をやるかではなく、誰とやるか」を大切にし、採用ではリファラル採用に力をいれてきました。

同じ価値で働くことが社員の幸せにつながると考え、社内で「18個のバリュー」という、共有の価値観をつくりシェアしています。

社員の約50%がリファラル採用からの人材であり、Great Place to Work® Institute Japanが開催する「働きがいのある会社」ランキングにて、4年連続で上位を獲得しています。

参照:「何をするかではなく、誰とするか」リファラル採用率50%のiYellが大切にする考え方

⑫株式会社ゴーリスト

出典:株式会社ゴーリスト

株式会社ゴーリストは、テクノロジー、クリエイティブ、ビジネスの3つの力を融合し、ITソリューションなどを提供しています。

株式会社ゴーリストでは、企業におけるミッション・ビジョン・バリュー(以下MVV)の3つを、明確化しています。

スキルを満たしている場合でも、MVVを満たさなければ採用を見送る、ということを徹底しているそうです。

また日報でネガティブ・ポジティブ両方の側面も発信しており、友人や知人をフラットな立場で初回できる情報発信をおこなっています。

中途採用の半数以上がリファラル採用であり、現在では外国籍のリファラル採用もすすんでいます。
またリファラル採用の離職率も、低いという効果がでているそうです。

参照:リファラル採用を成功させる3つのポイント

⑬株式会社LIG

出典:株式会社LIG

リファラル採用を活性化させるために、社員に向け1カ月の紹介キャンペーンをおこないました。

「LIGスカウトキャンペーン」というもので、優勝チームやエントリーの多いチームに賞品を設定したそうです。

また紹介の工数を減らすため、紹介者がURLを候補者に渡すだけ、というシンプルな仕組みもつくりました。

キャンペーン後に、協力した社員の数が1%から21%まで上昇し、内定率も4倍となったそうです。

参照:【実録保存版】社員紹介からの採用決定数が一気に4倍アップした話

⑭株式会社エブリー

出典:株式会社エブリー

株式会社エブリーとは、「DLISHKITCHEN」や「MAMADAYS」など、生活に役立つ動画配信サービスを提供している企業です。

株式会社エブリーでは、リファラル採用において社員紹介制度の周知に力を入れました。

また紹介における工数を減らすため、ややこしい確認や承認フローも削除したそうです。

人材サービスなどは使用せず、リファラル採用で人材の獲得を成功させています。

参照:リファラル採用の成功事例3選|各社の成功するポイントとは?

⑮株式会社ファンリード

出典:株式会社ファンリード

株式会社ファンリードはソフトウェア開発・インフラ構築など、エンジニアリングサービスを提供している企業です。

月に1回集まる定例会や、東京や大阪など各拠点で会社主催の飲み会も、定期的に開催しています。

社員同士のコミュニケーションを大切にし、コミュニケーションの機会に対しての予算もだしているそうです。

リファラル採用を開始後、11人の採用に成功し、採用コストの削減も実現しました。

参照:リファラル採用の成功事例 | 成功企業8社の事例集 | Vol.2

リファラル採用が上手くいかない時の改善施策

リファラル採用が上手くいかないとお悩みの方に、現場で起こりやすい問題点と、具体的な改善策を解説していきます。

そもそもの社内環境に問題があれば社員の協力は得られない

経営側と社員の信頼関係があってこそ、リファラル採用は成功します。

友人や知人を紹介する際は、誰しも慎重になりため、社内の不満が大きい場合はリファラル採用が成功しづらい傾向にあります。

制度などを整備してもリファラル採用が上手くいかない場合、社員から「なぜ紹介に至らないのか」を聞きだしましょう。

社内の風通しをよくすることで、リファラル採用を円滑に運営する助けになります。

社員に継続的に呼びかける

リファラル採用について、社員に継続的に覚えてもらうために、以下のように具体的なアクションを決め、定期的に実施してください。

  • リファラル採用イベントのポスターをつくり、社員の目につく場所に設置する。
  • 朝礼などで現状のリファラル採用チームの活動報告と、今後のリファラル採用についての
  • イベントを告知する時間をつくる。
  • 社員とのチャットツールを使用し、イベントの周知を定期的におこなう。
  • リファラル採用の採用結果を共有する。

社員への発信は多いと感じるくらいでも、問題ありません。中長期的な施策として継続するための、工夫をしながら運営してください。

面談実施数など、リファラル採用に繋がる施策の実施数を定量的に測定する

施策をおこなった後は、効果を測定しましょう。

施策実行前と、実行後の紹介数や面接実施数、または内定率などを測定することで改善点が発見できます

効果測定なく、同じ施策をただひたすら継続しているのでは、紹介数も内定率も向上しないでしょう。

リファラル採用を成功に導くためには、他の施策と同じく実施と効果測定が必須です。

経営層、管理職が積極的に協力する

リファラル採用を成功させるためには、まずは経営層や管理職が積極的に、施策に協力する必要があるでしょう。

社員がリファラル採用の効果や、やり方を見て知ることで、紹介へのハードルは下がります。

リファラル採用の運用が思うような結果に至っていない場合、経営層や管理職の働きかけが十分であるか見直しましょう。

まとめ:リファラル採用は制度を確立して、中長期的に取り組むことが成功の秘訣

リファラル採用を成功させるには、制度や紹介の流れを明確化し、社員にしっかりと周知する必要があります。

周知は何度もおこない、定期的に効果の報告もしましょう。

中長期的な視野でリファラル採用に取り組むことで、リファラル採用の効果が発揮されるでしょう。