新卒が退職する理由は?7つの視点を理解してよりよい会社を目指そう

「新卒を採用しても、すぐに退職してしまう……」「新卒の社員から退職の申し出があったが、何が原因だったのかわからない……」とお悩みではありませんか?

新卒は、まっさらな状態から自社の主戦力として育てられる貴重な存在。
買い手市場においては、採用も簡単ではない分、退職してしまったときのダメージは大きなものです。

新卒が退職する理由となるのは、どのような事柄でしょうか?
この記事で解説する7つの理由を理解し、新卒メンバーに寄り添える会社づくりを目指しましょう。

新卒が退職するのは珍しいことではない

「一生同じ会社で勤め上げる」「まずは3年間働いてみる」といった価値観は、すでに過去のものとなっています。
終身雇用の時代ではなくなったばかりか、新卒が就職した会社を1〜3年以内に辞めることも今や珍しくないのです。

厚生労働省が調査した結果によると、「就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者36.9%、新規大卒就職者31.2%」といった数字が出ています。

参考:新規学卒就職者の離職状況を公表します

この結果を踏まえると、新卒の退職はそこまで悲観することではないとも言えます。
しかし、組織の人財を失うのはやはり痛手です。

以下で、新卒が退職する理由を考えていきましょう。

新卒が退職する主な理由7つ

退職する理由は人によってさまざまです。
その中でも、新卒に多い理由を7つピックアップしました

退職を申し出た理由について、表面的な言葉や態度からは本心・本音がわからないこともあります。
次にご紹介する理由を見て、自社の新卒の状況と照らし合わせてみてください。

1.思っていたような仕事と違った

想像していた仕事と現実との違いに戸惑い、意欲を失ってしまうことはよくあります。

この場合、選考時に伝えたことと、実際の業務が違っているのはもってのほかです。
しかし、そうではなく、「人事や社内のメンバーが伝えた仕事内容」と「新卒が思い浮かべていた仕事」が一致していなかった場合もあります。

社会人経験が少ない新卒は、業務の仕組みに対する理解が浅い分、ギャップを感じやすいものです。
丁寧なフォローやケアが不足していると、「やりたい仕事ではなかった」と離職する結果になってしまいます。

2.他のことをやりたくなった

周囲の影響を受けたり、自分で考えたりした結果「やっぱり〇〇の仕事をしたい!」と決心して退職することもあります。

就活でいくら自己分析をしていても、実際に働いてみないと自分の適性はわからないものです。
インターネットの情報や友人などから刺激を受け、納得して内定を承諾した会社でも、「やっぱり違うな」と辞めてしまうことは大いにあります

「就活を早く終わらせたい」と思い、会社選びや内定承諾を急いでしまった学生も、このような理由で退職する可能性があるでしょう。

3.待遇に不満を覚えた

待遇について、応募時には納得したものの、知人や友人などの話を聞いて「自社は待遇が悪いのかも」と思ってしまうこともあります。

給与・労働時間・休日の日数などは妥当でしょうか?
地域や業界の相場から外れている、平均値とかけ離れている、といったことに心当たりがあれば要注意です。

また、入社から年数が経った新卒であれば、成長度合いや成果に見合った待遇が求められます。
「結果を出したのに、評価されていない」「評価に対する報酬が見合っていない」と思われると、知らないうちに不満を募らせて退職することもあるのです。

4.ワークライフバランスが取れないから

休日でも仕事をしないといけない、残業が多すぎるなど、ワークライフバランスが取れない職場環境では新卒が疲弊してしまいます。

過酷な労働環境は新卒を失うばかりでなく、社員のメンタルヘルスに影響したり、「ブラック企業」として会社そのものの評判が下がったりする危険性があり、改善が必要です。

現代の若手人材は、仕事とプライベートを両立させられる、柔軟性のある環境を求める傾向があると言われています。
「長時間労働で自分の時間が減ってしまう」「仕事と家庭を両立させられない」といった悩みが募ると、「ワークライフバランスを重視できる会社で働きたい」と感じるのは自然なことです。

5.人間関係に悩みがあったから

仕事にはやりがいを感じていても、人間関係が原因で悩みを抱えてしまうことがあります。
とりわけ同じチームの上司や同僚との相性は重要であり、ファーストキャリアで人間関係に嫌な部分があると、働くモチベーションも低下しがちです。

人事担当は、一緒に働くメンバーがギスギスしていないか、コミュニケーションに何かしらの課題を抱えていないか、などにも配慮やケアが必要です。
また、当人それぞれには特段悪い部分がなくても、相性の問題で上手くいかないこともあります。

「この新卒のOJT担当には、誰が適しているだろう?」といったように、新卒がのびのびと自分らしく働ける人間関係づくりも大切です。

6.仕事がつらくて心が折れてしまった

学生と社会人では、求められるものが大きく違ってきます。
社会人としては当たり前のことでも、「きつくて耐えられない」「実際に働いたらかなり大変」と感じてしまうこともあるのです。

具体的には、ノルマや責任などが該当します。
新卒に心理的な負担がないように、仕事の量やレベルを調整するか、専任のメンターによるケアなどをする必要があるでしょう。

慣れれば仕事にも前向きになり、難しい課題もクリアしてくれる優秀な人材に育つかもしれません。
初めからできると思って任せすぎる、できないことを責める・叱咤するといったマネジメントは一度見直しましょう。

退職の理由から考えよう!新卒が働きやすい会社にするには

ここまでに解説した退職の理由について、思い当たる節はあったでしょうか?
理由を踏まえた上での改善がなければ、新たに新卒を採用しても同じことを繰り返してしまいます。

新卒が働きやすい環境は、他の人にも働きやすい環境と言えるでしょう
より良い会社にしていくために、以下のポイントを重視してみてください。

応募時に業務や社風についてきちんと伝える

採用をする過程では、説明会・カジュアル面談・面接・懇親会などを通して、業務や社風についてしっかりと伝えておきましょう。
働く環境や仕事をイメージできていれば、入社後のギャップやミスマッチは少なくなります

言葉で伝えるだけでなく、SNSやブログコンテンツを使って発信したり、実際に会社に来て雰囲気を感じてもらったりと、工夫できる点はさまざまです。
業務の説明は現場のメンバーにも確認して、「実際に任せる仕事とズレがないか」「誤解を招く表現がないか」などにも注意を払いましょう。

1on1のような面談の機会を多く作る

1on1(ワンオンワン)は、部下と上司が1対1で面談をする機会のことです
週次や月次で習慣化して実施すれば、新卒が上長と接する機会は自ずと増えるため、何かの不安や悩みがあるときにも相談しやすくなります。

新卒が自ら悩みや不満を口にすることは決して多くありません。
ある日突然の退職、という事態にならないためにも、人事や直属の上司がしっかりとマネジメントやメンタルケアをすることが重要です。

職場の環境を見直す

残業や休日出勤が常態化していないか、日々の職場環境を思い浮かべながら振り返ってみてください
上司が遅くまでずっと働いているために、新卒が帰りづらくなっていることもよくあります。

新卒が「退職したい」と思ってしまう要素がないか、働きやすい環境とは何かを考えながら改善に取り組んでみてください。

まとめ:新卒が退職する理由はデリケート。周囲が積極的にフォローして!

​​新卒が退職する理由はさまざまですが、理想と現実とのギャップや、働きにくさが主な原因となっているケースが多数です
社会人になりたてで、ビジネス経験が少ない新卒でも気持ちよく働けるように、周囲が積極的にフォローに入ることを意識しましょう。

選考や入社後の面談などを通して、コミュニケーションを欠かさないことも大切です。
ちょっとした懸念やわだかまりも拾い上げ、一緒に解決していけば、退職のリスク軽減に繋がります。