地方エンジニアの採用方法は?コツや注意点も詳しく説明

「優秀なエンジニアが集まらない」
「会社の採用ノルマが重く感じる」

このような悩みを抱えている採用担当者の方も少なくありません。

昨今のIT化の流れに対応するためにも、優秀なエンジニアの採用は企業で重要度が増してきています。

エンジニアを採用するにあたり、人数が多く人との出会いに恵まれやすい都会をメインに活動している採用担当者もいるでしょう。

しかし、今は地方にいるエンジニアにも注目すべきなのをご存じでしょうか。

この記事では、地方エンジニアにも注目すべき理由と採用施策を紹介します。今エンジニア採用に悩んでいる採用担当者の方は、ぜひご覧ください。

地方エンジニアの注目が高まっている

現在、地方にいるエンジニアを採用することに注目が高まっています。

なぜなら、コロナ禍でテレワークの導入が急速に進んだ結果、オンラインで仕事もできるようになってきており、優秀なエンジニアでも地方への移住を選ぶようになってきているからです。

また、地方の方が家賃を抑えられることや、首都圏よりも通勤にストレスが掛からないというライフワークバランスの観点から地方を選択するエンジニアも増えています。

例えば、2022年3月時点で東京の港区ではワンルームで約13.6万円が家賃相場ですが、博多ではワンルーム約5.5万円が相場です。

東京の方が給与面には恵まれやすいですが、待遇を上回る魅力が地方にはあると考える人も少なくないのです。

参考:ホームズ

地方のエンジニア事情

東京に比べると、地方のエンジニア求人・案件は全体の求人・案件数が少なくなっています。

東京には国内の大企業が集まっており、その分求人の母数が多くなっているのが理由としてあります。

世界最大手の求人情報専門の検索エンジンであるIndeedによると、「エンジニア 東京都」の条件で検索した場合は118,649 件の求人がありますが、対して「エンジニア 大阪府」では38,219 件、「エンジニア 福岡県」で13,301 件、「エンジニア 北海道」7,241件という結果です。※2022年3月調べ

また、地方のエンジニア求人は、専門的な仕事内容よりも社内SEなどのシステム全般に関する業務の求人が多い傾向にあります。

条件や待遇、仕事内容に細かい希望がある方は、東京の方が希望に沿った求人が見つかりやすい状況です。

参考:エンジニアの求人 -Indeed (インディード)

地方で働くエンジニアの特徴

ここでは、地方で働いているエンジニアの特徴を3つ紹介致します。

社内SEとして地域企業に勤務希望の人が多い

地方ではプログラム開発などの案件は少ない傾向にありますが、多くの中小企業が社内SEを募集しています。

社内SEは、社内のシステム関係の雑務を全て請け負うことが仕事内容です。

デジタル社会と呼ばれる中、企業がITの流れに遅れないようにするため非常に重要な仕事を担っています。

可能であれば、転勤がなく一定の地域でずっと働けることを保証できる点をアピールポイントにして、採用活動すると上手くいく可能性があります。

仕事と趣味を両立させたい

仕事と趣味を両立させたい、特にアウトドアの趣味を持っている人は、地方にいたいと思う方も少なくないでしょう。

山登りやサーフィン、釣りキャンプなどが趣味の場合、都会ではなかなかできませんし、車が必要ですが、都会で自家用車を所有するには駐車場代が重荷になります。

仕事よりもプライベート、特にアウトドアの趣味を大切にしたい人は地方勤務を選ぶ傾向にあります。

こうした傾向を踏まえると、残業の少なさや有給の取りやすさなどのアピールポイントは、都会の求職者に比べると強いアピールになります。

子育てや親の介護がしやすい環境を求めている

子育てや親の介護を抱えているエンジニアは地方での生活を求めやすくなります。

地方の方が子育てや介護の際に発生する課題が発生しにくく、環境も良いことが少なくありません。

例えば子育ての場合、昨今問題になっている待機児童問題も都会に比べると地方では少なく、その点では地方の方が子育てしやすい傾向にあります。

また介護においても、親が地方に住んでいる場合や親の暮らしやすい環境整備のため、自然の中で暮らすことを決めた場合は、地方での就職を決めるでしょう。

子育てや親の介護がしやすい環境を求めているエンジニアは、子育てや親を介護するためにワークライフバランスを重視する傾向があります。

地方でエンジニアを採用するメリットとデメリット

地方でエンジニアを採用するメリットは豊富にあります。

ここでは、地方のエンジニアをターゲットに採用活動するメリットを3つ紹介致します。

メリット①雇用しやすい

地方の場合、都会に比べて比較的雇用しやすくなります。地方は求人が少ない分、エンジニアの供給も余る傾向にあるからです。

また最近ではテレワークの推進も進み、地方を選択する求職者も増えています。雇用しやすいため、採用活動に掛かる費用削減にもつながります。

ただし、地方の求職者が求めている条件に合わせてアピールしていく必要があります。

メリット②報酬の融通が利く

地方は都市部と比べ比較的生活費が安いことや競合が少ない分、報酬の設定額も交渉の余地があります。

実家があるという理由から地方で働く人も多く、実家に住んで生活費を抑えて暮らしているケースもあるでしょう。

例えば、人件費を多くかけられないけれど人手不足でどうしても困っているという場合、地方での採用であれば求職者が条件を飲んでくれることもあります。

都会であれば他により良い条件の求人が沢山あるので、待遇が良くないと他の求人に求職者が流れてしまうケースが増えます。

メリット③精神衛生が保たれやすい

地方勤務希望のエンジニアは、都会の通勤や勤務時間の長さに嫌気がさして移住した人も少なくありません。

地方で働くからこそ、東京にいると溜まっていたストレスから解放され、精神衛生が良好な状態で働けることもあります。

結果として、地方で働く社員の衛生管理が楽になることと、その地方エンジニアの上司や労務担当者の負担は少なくなり、コスト削減や社内衛生の改善効果が得られます。

採用担当者としても、衛生環境の良い社内作りが重要といえるでしょう。

デメリット①進捗やコミュニケーションが図りづらい

地方採用を進めすぎると、社内が全体的に進捗やコミュニケーションが図りづらくなります。

リモートでも仕事ができる環境は昨今整いつつありますが、それでも距離の影響は少なくありません。

例えば、東京本社で今年の仕事の方向性が固まったとしても、別拠点の人間にはなかなか浸透せず、今まで通りの方針を貫かれることはありませんか?

結果として、各拠点の分立に繋がりチームワークとは程遠いものになります。

しかし、コミュニケーションが図りづらいというデメリットは、ツールを上手に使えば払拭できます。

最近は無料で試せるコミュニケーションツールも豊富に提供されているので、地方人材とのコミュニケーションにお悩みの方はツールの導入を試すのも良い選択です。

デメリット②より良い人材を確保しにくい

エンジニアの多くは都心部に集まっています。そのため、より良い人材を求めた採用は展開しにくくなります。

地方学生の就職活動は比較的選択が狭まるデメリットが発生しますが、そのことは企業にとっても同じです。

自社にマッチした優秀な人材を地方で採用するのは、都心での採用より骨が折れるかもしれません。

地方でエンジニアを採用するための施策

具体的に地方でエンジニアを採用するにはどうすれば良いのでしょうか。地方で採用活動したことのない採用担当者からすれば、採用方法に全くイメージが湧きませんよね。

ここでは、地方エンジニアを採用するための施策を紹介致します。

以下を参考にして、採用活動のイメージを思い浮かべてみて下さい。

ダイレクトリクルーティング

日本では労働人口の減少が現在進行形で進んでおり、有効求人倍率が高まっている影響で採用が困難になってきています。

このような労働市場の中、求人を掲載してただ待ち続けるのは得策といえません。

ダイレクトリクルーティングを利用すれば、求人を掲載して待っているだけでは応募が来ないような、自社にピッタリな優秀な人材に巡り合える可能性があります。

Uターン・Iターンの支援制度を充実させる

UIターン時にかかる費用面が重荷となって、地方での就職活動が思うように進められない求職者は多くいます。

例えば、引っ越し代補助を20万円支給することや、家賃手当を半分支給するなどが挙げられます。特に20代の方を採用したい場合、充実した支援制度は効果的でしょう。

なぜなら、今の20代単身世帯の貯金の中央値は8万円ともいわれており、ほとんどの20代は引越しするような経済的体力すらないからです。

制度を充実させれば、求職者へのアピールポイントになるので広告も打ちやすくなります。

WEBサイトのSEO対策をする

自社サイトの求人ページや、媒体に掲載している求人ページのSEO対策をしましょう。

特に後者はSEO対策を実施することで、流入数を短期間で伸ばすこともできます。検索されやすいワードを調べて、そのワードをできる限り記載します。

例えば、地域名や職種は検索ワードに入りやすいため、奈良でエンジニアを募集するのであれば、「エンジニア」「奈良」というワードは必ず入れるべきです。

また、現場で使用する開発言語や募集ポジションに関するキーワードを入れることで、より詳細に仕事を探しているエンジニアに対してアプローチすることが可能になります。

都市部の企業が積極的にSEO対策を実施している一方で、地方の企業は注力できていないケースも多いため、中長期的な目線で継続して取り組む必要はありますが、効果が期待できる施策です。

地方のメリットを活かした募集

その土地ならではのメリットを書くことも有効です。

地方勤務を希望する方の中にはその土地に愛着がある人も少なくなく、その場所ならではの記載があると目に留まりやすくなります。

例えば募集している地域で海鮮料理が有名であれば、「仕事終わりに安くて美味しい地酒や海鮮料理が沢山食べれます」のような文章を募集要項に取り入れます。

記載する内容に悩んだら、まずどのような人をターゲットに文章を書くのかペルソナを決めるのがコツです。

スカウトメールを活用する

スカウトメールも積極的に活用して、地方採用を進めましょう。エンジニアの経験者は売り手市場なため、企業側が採用しにくい状況が続いています。

そのため、待っているだけの採用はよほど魅力のある企業でしか通用しないでしょう。

スカウトメールを積極的に活用して、転職者が他社に応募して選考を進める前に、自社へ応募してもらうことが重要です。

地元の大学や専門学校との連携

地方学生の採用を目指すなら、地元の大学や専門学校との連携を進めましょう。

大学や専門学校には就職支援センターが設けられている場合も多く、そこで紹介してもらえれば一気に地方学生への自社の認知度向上が見込めます。

今まで学校機関との接点が無かったという組織では、まずは地方にある大規模な学校の学生支援センターに連絡を取ってみてはいかがでしょうか。

競合他社も都会と比べ少ないため、就活に行動的ではなかったという理由だけで発掘されていなかった優秀な人材が見つかるかもしれません。

地方でエンジニアを採用する時の注意点

地方でエンジニアを作用する場合、都会とはまた違った注意点が発生します。

ここでは、地方でエンジニアを採用する際の注意点を3つ紹介致します。

コミュニケーション方法に注意する

昨今コロナウイルス蔓延の影響もありリモート面接が普及していますが、全てをリモートで実施すれば良いわけではありません。

リモートで仕事は可能だとしても、面接時は自社の良さや従業員の人柄、雰囲気を分かってもらうために対面の方が望ましいこともあります。

例えば、採用までのフェーズを全てリモートにした場合、多くの求職者が納得感を持てず途中で離脱し、採用まで至らないかもしれません。

対面の場合は、交通費を支給すると求職者への印象も良くなります。

運用ルールを定める

採用後、地方でリモートワークをしてもらうとなるとどうしても仕事の様子を把握しづらくなります。そのため、運用ルールを定めて採用したエンジニアがサボってしまうことを防ぎましょう。

例えば、仕事の開始時と終了時には必ず一定の場所から報告させるというようなルールを設けます。

コストをかけて採用した人材なので、生産性高く仕事に取り組んでもらうよう工夫しましょう。

情報共有を積極的に行う

地方は都心に比べると、エンジニア業務にまつわる情報がアップデートされにくい傾向にあります。

理由としては、開催される勉強会やセミナーが少ないことや、従来通りの古いやり方で顧客から仕事をお願いされ続けていることなどが挙げられます。

働く側としては、知識をアップデートする必要もなく楽で良いと思う人もいますが、会社として利益を上げることを考慮すると、情報や知識がアップデートされないのは好ましくありません。

解消する手段として、例えば社内研修やオンラインセミナー、定期ミーティングなどの情報共有を積極的に実施してみましょう。

エンジニアの世界は日々進化しているので、地方人材にも学んでもらうことで長期的には会社の生産性を高められます。

まとめ:地方にも目を向けたエンジニア採用を展開してみよう!

今回の記事の内容を以下にまとめました。

  • 今地方エンジニアが注目されている
  • 地方のエンジニアは地方で働きたい思いが強い
  • 地方のエンジニア人材は比較的残業の少なさや休みの多さに惹かれる
  • 場合によっては地方の方が雇用しやすいこともある
  • 地方エンジニアの採用には都会に比べダイレクトリクルーティング等の攻めの採用が必要になる
  • 実施する施策を増やすことで、地方エンジニアの採用が上手くいきやすくなる
  • 地方エンジニアに合ったコミュニケーションの取り方がある

地方でも働ける環境が会社にあり、都会でのエンジニア採用が上手くいかないという採用担当者の方は地方の採用にチャレンジしてみましょう。

昨今は地方で働きたいというニーズも増えているため、地方でも優秀な人材が採用できるチャンスがあります。

ただ待っているだけではなかなか採用できないのも事実なので、スカウトメールやダイレクトリクルーティングを駆使して攻めの採用を展開していきましょう。